血糖測定センサーについて
犬猫共に糖尿病の管理は基本的にインスリン注射を行います。
(※猫ではSGLT2阻害薬・センベルゴによる経口薬管理も可能)
血糖コントロールのための血糖値測定は非常に重要な検査となっています。
インスリン注射後の血糖の動きは、時間を決めて採血してその都度血糖値を測定していました。
採血のたびに血管に針を刺す行為は、動物にストレスを与えます。
ですが、血糖曲線作成は糖尿病初期のインスリン種および量の決定に非常に重要な検査なので、ワンちゃん猫ちゃん(獣医師も)が辛くても行ってきたわけです。
ですが、近年画期的なデバイスが開発されました。
センサーを皮膚に設置してしまえば、読み取り機で随時血糖測定ができるというものです。
基本、人間用の測定器ですが動物にも利用できるため、当院でも採用しています。
センサーの概要図です。
センサー電極が皮下組織に設置される必要があります。
設置部の毛刈り、洗浄脱脂処置を行います。
乾燥後、センサー設置部皮膚に足場となる薬剤を塗布します。
犬猫ではそのまま設置した場合、脱落が早い事が多いです。
薄い膜状シールを貼り付けた上で設置する方法も考案されましたが、膜ごと脱落するので当院では採用していません。
センサー埋め込み中
センサー設置の瞬間は極細針が皮膚を刺すため、一瞬チクッとします。
ガイド針がかなりの細径のため、今までの経験上さほど痛がる様子はありません。
設置デバイスを外しているところ。
白いセンサーが設置されています。
状況により、センサー貼り付け部外周を補強します。
その後、センサーをアクチベートします。
設置後すぐに測定はできません。
起動後60分後より測定可能です。
測定しているところ。
読み取り機を接近させるだけで血糖測定が完了します。
データは読み取り機に格納されます。
うまくいけば2週間作動可能です。
なにぶん動物ですので、かじったり舐めたり、掻いてしまったりしてセンサーを自分でとってしまう可能性はあります。
センサー部分をぶつけたり、運動でずれてきたりという場合もあり、
2週間きっちり利用できないこともしばしばあります。
センサー貼り付け位置に工夫をすることである程度安定的に測定できます。
※皮膚・皮下組織が非常に薄く、センサー部位が皮下領域に設置できない場合は設置しても上手く作動しない場合があります。
飼い主様に読み取り機を持参していただいて、院内PCで血糖変動を確認させていただくことで、治療に非常に有用な情報が得られるわけです。
もちろんですが食事の時間、食事の内容、インスリンの接種時間、運動の有無などの情報は必須です。
ただ血糖値だけをみても片手落ちになります。
この測定装置の測定結果は血液による実測値と良く相関しますが、
血液での実測測定値の方がより精度が高い点は今までと変わりません。
また、500mg/dl以上の血糖値は測定できません。
状況に応じて実測とセンサーの使い分けをする必要があります。
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