北千里動物病院

大阪府箕面市今宮3-26-45

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更新日 2017-04-08 | 作成日 2017-04-08

レーザー腫瘍外科

北千里動物病院で行なっているレーザー腫瘍外科についてご照会します。
当院では半導体レーザーを利用した腫瘍外科に取り組んでいます。


当院採用の半導体レーザー装置

波長810nmの半導体レーザーで、最大出力20W、連続照射、パルス照射が可能で、接続できるファイバーの種類も細径のものから太径のものまで利用できます。
ファイバー先端形状もコニカルファイバーや先端加工ファイバーなど、様々な応用がきき汎用性が非常に高い機械です。

治療症例

老犬のイボ


6ミリベアファイバー(アクティブ)を用いてレーザー照射を行っています。


腫瘍が蒸散、炭化していっています。
先端温度は約700度になります。


更に蒸散を進めています。
腫瘍と正常組織との狭間あたりで終了させます。
やり過ぎると皮膚に穴が開きます。


処置直後です。
老犬のイボは数回に分けて蒸散を行う場合があります。
一度に処理しようとすると、正常組織が熱損傷をうけすぎて処置後に痛みが出たり、
浸出液が過剰に出て治癒が遅れる傾向が出ます。


顔面の皮脂腺上皮腫


細胞診の結果は皮脂腺上皮腫でした。
本来は全身麻酔下でマージン確保の上、切除が正解ですが、
オーナー様と相談の上レーザー熱凝固術を試すこととなりました。
基本的におとなしい子であり、全身麻酔を使わずレーザー処置が
可能と判断しました。




目に近く、動かれると危ないため、鎮静剤のみ使用させていただきました。
この子は沈静化では非常におとなしく、安全にレーザー処置が行えました。



数回に分けて行い、腫瘍はある程度消滅しました。




その後はこんなかんじです。
熱凝固させた割には毛がある程度生えました。


猫 肥満細胞腫


指先にできた肥満細胞腫です。
刺激により度々出血を起こしている状況でした。
猫の肥満細胞腫は犬もののように悪性度の高いものでは無い事が多いですが、
この子の場合は切除対象です。
断指術も視野に入れたお話をさせていただきましたが、レーザー熱凝固を試したいとのことでした。




この処置は麻酔下で行いました。
腫瘍周囲の皮膚にICG(インドシアニングリーン)というレーザー感受性色素を注入します。



腫瘍周囲が緑色になっているのが分かります。
まず、この腫瘍周囲の皮膚に短時間レーザー照射を行います。
いわゆるマージン領域(腫瘍浸潤領域)の腫瘍細胞を殺すための照射です。




マージン領域のレーザー処置が終わった後、腫瘍本体にICGを打ち込みます。
写真は打ち込んだ後です。




レーザーを非接触で照射、熱凝固を促進します。




処置直後です。
腫瘍に完全にダメージを与えるためある程度の照射を行いました。
この後は、照射部位がじくじくし、かさぶたが出来るはずです。




想定どうりの状況です。
舐めちゃうと困るのでカラー必須です。




かさぶたが取れました。
一部上皮化がすすんでますが、治ってはいません。




その後の状態です。
腫瘍は消え去りました。毛も生えてきています。
指を落とさず済みました。



犬 アポクリン腺癌(肢端部分)


肢端部にできた腫瘍です。
時折潰瘍化、出血を繰り返しながら成長してきたとのことでした。
病理組織検査の結果はアポクリン腺癌でした。
全身麻酔下での切除をお薦めしましたが、高齢・心臓病・腎不全・神経病を
患っており、飼い主さんとしてはOPEは望まないとのことでした。
第二の選択肢としてのレーザー熱凝固術を試したいとのことでした。



コニカルファイバーで腫瘍内部にレーザー照射を行い、数日後の状態
ある程度の熱刺激が加わりますので局所麻酔を使用しました。



2週めの状態
熱凝固部分が脱落壊死し、皮膚に近い部分が残っています。
この後は、週一回程度のペースで照射を行っていきます。



更に照射をした後。
表面に炭化層ができています。
この処置も局所麻酔を使用しています。
正常組織に近くなるほど処置中の熱侵襲による痛みが出やすくなります。
痛がっている状況で押さえつけての処置は処置がやりにくいだけでなく、動物にも
大きな負担を強いることになります。
ですので、痛がるようならば躊躇なく局所麻酔を使用します。




数回の照射を行いながら、かなりいいところまでこぎつけました。


肉眼的に腫瘍は消滅、毛が生えてきました。

悪性腫瘍性疾患に対しては、切除可能ならば切除が第一選択です。
レーザーによる熱凝固術は、第二選択肢となります。
上記症例のように上手くいく可能性もあるのですが、レーザー処置で
すべての腫瘍に対応できるとは思っておりません。

北千里動物病院では、さらなる光線力学的温熱化学療法の適応を広げていく、
次世代がん治療の治験に参加中です。
「光とICG修飾リポソームを用いた次世代がん治療・鳥取大学農学部」
詳しい治療内容や当院での治療等については治験の規定により掲載できません。
下記リンクよりpdfファイルをダウンロードしてご参照ください。

LinkIcon光とICG修飾リポソームを用いた次世代がん治療・鳥取大学農学部


※ 下記のような場合は無麻酔でのレーザー処置が行えません。

・極端な怖がり君で、レーザー処置中にどうしても暴れたり過度に興奮する子
・そもそも外科的切除が適応の腫瘍でQOL低下を伴わず外科切除可能な場合
・重大な基礎疾患を有し、かるい興奮でも失神等の症状を呈する場合
・レーザー治療適応だが、大きすぎる場合や浸潤麻酔に過敏反応を示す場合
 (浸潤麻酔は腫瘍が大きい場合や処置に痛みを感じる場合などに使用します)
・眼瞼(まぶた)や、眼球周囲、口腔内など、無麻酔での処置が難しい箇所
・腫瘍自体が目視できない(触知できない)部位に存在するもの
・周囲への熱損傷で重大な問題が起きる可能性のある部位にある腫瘍


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