北千里動物病院

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更新日 2017-04-08 | 作成日 2017-04-08

レーザーによる無麻酔 体表腫瘤処置について



ここでは、老犬に多いイボ(皮脂腺腫)と悪性腫瘍を例にとって無麻酔レーザー処置についてご説明します。

体表腫瘤を発見した場合、針生検を行いその後に外科的切除という流れが通常です。
針生検の結果が肥満細胞腫などの悪性腫瘍であった場合はマージン確保した外科的切除が必須と思われます。

しかし、いわゆる老犬のイボのような良性腫瘤物の場合、緊急性は低く、老齢という事での麻酔リスクから処置を後回しにされてきた傾向がありました。
老犬のイボは多発する傾向があり、ブラッシングの時に櫛にひっかかって出血したり、感染がおきたりすると動物自体がイボを気にするようになり、舐め続けて自壊させることも珍しくはありません。

ここで近年利用されるようになってきたのがダイオードレーザーによる蒸散法や液体窒素を用いた凍結凝固法です。
当院で採用した機械はダイオードレーザーです。凍結凝固法にくらべ汎用性が高いのと、細かい作業が可能である点が採用のポイントです。



当院採用のダイオードレーザー装置

ファイバー先端を様々なものに交換でき、レーザーハイパーサーミア(レーザーによる温熱治療)や熱凝固法、PLDD、老犬のイボとりまで幅広く利用出来る優れものです。
下の青い器具はウルトララウンドという、イボとりの際に利用する先端器具です。








老犬のイボ レーザー処置 実際の症例

13才のお年寄りのワンちゃんで、基礎疾患に心臓病があるため無麻酔でイボを取りたいとのことで他院様よりの紹介で来院されました。
イボの大きさは小さめで多数存在していました。
生検にて皮脂腺腫であったため、レーザー適用となりました。



レーザー処置前
ココ以外にも多数存在していました。




レーザーによる蒸散処置 直後
処置は無麻酔で行いました。
ワンちゃんはほとんど違和感を感じること無く処置が終了しました。
ほとんどの症例で、麻酔や鎮静を必要としません。
目的の腫瘤が大きい場合に局所麻酔を行う場合があります。




処置後2週間目
後が残っていますが、平坦化しています。





処置後4週目
ほとんど痕跡的です。
うっすら黒い色素が認められます。


多くの場合で日をあけて2回から数回の照射が必要になります。
一度に激しく処置し過ぎると皮膚に穴が開いたり、処置時痛がったりするために
日を開けて少しずつ分割蒸散したほうが経過が良いのです。

この処置は根治術ではありません。
QOL(生活の質)の改善が処置の目的です。
腫瘍と周囲組織ごとえぐり取る外科処置とは趣旨が異なります。
処置後同一部位から再発しない例も多いのですが、一部のイボでは数ヶ月から数年という時間経過でゆっくりと腫瘤が再生してきます。



悪性腫瘍に対しレーザー熱凝固法を用いた事例



高齢で心疾患を患っているワンちゃんの事例です。
肛門部分に大きな腫瘍が発生し常に出血、悪臭を放っていました。
組織生検の結果は「肛門周囲腺癌」でした。
マージン確保した上での外科的切除をご提案しましたが、
麻酔の危険性、高齢であること、肛門括約筋の切除も必要なことなどから、
飼い主様は外科的切除を選択されませんでした。

しかし、出血と悪臭で飼い主様もつらいとのことででしたのでレーザーによる熱凝固法をご提案しました。
具体的にどうするかですが、腫瘍内にレーザー照射用ファイバーを挿入し、腫瘍内でレーザーを拡散照射します。
かなり大雑把に言うと「腫瘍の内部で線香花火をやる」というイメージです。
レーザーファイバーの先端を拡散照射用に加工した特殊ファイバーを腫瘍内に挿入し、
なるべく正常組織に熱損傷が及ばないレベルで腫瘍に熱変性を起こさせるわけです。
ファイバーの挿入は腫瘍内四方八方に行い、パルス照射しながら移動させていきます。
この子の場合は腫瘍が大きいため、局所麻酔は併用しましたが、鎮静や麻酔なしで処置できました。




2週ごとの照射を2回行った後の写真です。
腫瘍自体はかなり縮小、厚みが減り、出血や悪臭は激減しました。
単純に熱変性によって腫瘍が収縮するだけでなく、ヒートショックプロテインなどの増加が腫瘍縮小のための一役をになっていると考えられます。

こういった事例では腫瘍自体が悪性であるため、時間と共に腫瘍が拡大することが予想されます。
ICG(インドシアニングリーン)局所注射(レーザー感受性を増大)+レーザー照射などのテクニックが今後必要になると思われました。
この事例は根治術ではありません。QOL改善(生活の質の改善)が最大目的の処置ということになります。

LinkIconその他レーザー関連症例についてはこちらをごらんください。


※ 下記のような場合は無麻酔でのレーザー処置が行えません。

・極端な怖がり君で、レーザー処置中にどうしても暴れたり過度に興奮する子
・そもそも外科的切除が適応の腫瘍でQOL低下を伴わず外科切除可能な場合
・重大な基礎疾患を有し、かるい興奮でも失神等の症状を呈する場合
・レーザー治療適応だが、大きすぎる場合や浸潤麻酔に過敏反応を示す場合
 (浸潤麻酔は腫瘍が大きい場合や処置に痛みを感じる場合使用します)
・眼瞼(まぶた)や、眼球周囲、口腔内など、無麻酔での処置が難しい箇所
・腫瘍自体が目視できない(触知できない)部位に存在するもの
・周囲への熱損傷で重大な問題が起きる可能性のある部位にある腫瘍


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