膿皮症(細菌性皮膚炎)
犬の皮膚にかゆみ、円形に皮がめくれるような皮疹
北千里動物病院での皮膚科診療においても非常によく診る犬の皮膚病です。
膿皮症・・・聞き慣れない病名かもしれませんが、犬の皮膚炎の中では一番多い疾患と言えます。
皮膚に細菌感染が及んだ状況のことを指し、通常かゆみを伴います。
気温と湿度の高まってくる春先から夏場にかけて罹ることが多い疾患です。
ただ、基礎疾患が存在している場合慢性再発性に発症することも多いため、治療をしてもすぐに再発を繰り返す、あるいは治りが悪いといった場合基礎疾患の有無を確認する必要が出てきます。
例えば、糖尿病が基礎疾患として存在し、そこに膿皮症が発症しているような場合がそれにあたります。
また、膿皮症+アトピー、膿皮症+アレルギー、膿皮症+内分泌疾患、膿皮症+デモデックス(皮膚内のダニです)etc・・・といった、様々な複合病態も考えられます。
症状
一番よく見られる表在性膿皮症の場合、毛穴に一致してぷつぷつと赤みがでたり、皮がリング状にむけてリングの内側辺縁に赤みがあり、中央部付近が治癒傾向(時に色素沈着)といった肉眼所見を得ます。
多くの症例でかゆみを伴っており、眠れないほどかゆみに苦しめられているわんちゃんも良く見ます。
細菌感染が深部にまで及んだものを深在性膿皮症と呼びますが、表在性より強い皮膚症状を呈します。時に自己免疫性疾患との鑑別が必要となるほどの症状を見せるものもあります。
検査
視診、症状からの類推、皮膚掻爬試験、抜毛による毛根の観察、皮膚表面の細菌、カビの顕微鏡的確認などを行います。
時に培養検査、基礎疾患の確認のための検査等が追加検査として必要な場合があります。
治療
まずもって、外部寄生虫(ノミやマダニ)がいる場合はその駆除が大前提です。
発見されない場合でも、外部寄生虫予防がきちっとなされている必要があるので、予防・駆除剤の使用をお勧めします。
外部寄生虫をそのままにしておいての皮膚科治療は効果が上がりません。
●抗生物質
膿皮症そのものの治療としては、抗生物質の内服を一定期間継続する事が治療のスタンダードとなっています。
かゆみがある場合はかゆみ止めを併用することもあります。
一回注射すると2週間薬効が持続する抗生物質も利用可能ですが、適用するかどうかは状況によります。(第一選択薬ではありません)
薬がうまく飲めない(飲ませられない)場合や、培養検査結果が感受性有りの場合などは適応とおもわれます。
●シャンプー療法
薬効のあるシャンプーを使って体を洗う治療法です。
体質・皮膚状態にあわせたシャンプーを処方します。
シャンプー療法の失敗要因がいくつかありますので、オーナー様には
「薬用シャンプーの正しいやり方」をご説明してお渡ししています。
抗菌シャンプーのみならず、ウルトラファインバブル(超微細気泡)を発生させるシャワーヘッドによる洗浄等も効果がでる場合があります。
●基礎疾患・複合病態の治療
基礎疾患や併発疾患が発見された場合行います。
疾患の内容により様々です。
●外用剤
外用剤は膿皮症が軽く、一部分のみといった限局性の病変の場合適用することがあります。
病変が広範囲にわたるもの、深部に向かうものなどには適用しません。こういった場合は抗生物質の全身的投与が必要です。
慢性再発性膿皮症の寛解維持に外用療法をうまく活用する事は多いです。
慢性の指間せつ腫症や指間間擦疹に対しても外用を利用すると奏効する場合があります。
耐性菌の問題がありますので、抗生物質をダラダラ塗布するということは基本的にありません。
獣医師処方の複合外用剤(ステロイド・抗生物質・抗真菌薬含有)をダラダラと塗っている患者さんでは大多数で耐性菌が出現しています。
特にニューキノロン系抗生物質含有の複合外用剤の長期塗布では、多剤耐性菌の出現をよくみますので注意を要します。点耳用として長期投与された場合でも同様です。
実際の症例
最近、皮膚を痒がり続けているとのことで来院されました。

初診時・・毛を刈ってみるとかなり激しい皮膚症状を呈していました。
いくつかの検査を行った上で深在性膿皮症と暫定診断しました。
抗生剤の全身投与、薬用シャンプー療法を治療の基本と据えました。

治療一週間目・・かなり改善しました。
表在性の病変がかなり治癒傾向にあります。

治療3週目・・小さな病変は消滅しました。

治療6週目・・・完治しました。

ちなみにこちらは天疱瘡という自己免疫性皮膚疾患のわんちゃんの写真です。
皮膚生検による病理組織診断で確定した症例です。
膿皮症に似た感じに見えますが、抗生物質では治りません。
慢性再発性膿皮症について
ヨークシャーテリア、トイプードル、フレンチブルなどでよく診ます。
上述の膿皮症を何度も何度もくり返すというのが症状です。
多くの場合が表在性の感染であり、深在性膿皮症ではありません。
リング状の皮めくれのような皮疹がくり返し起きる事が多いです。
痒みが重度のものから、殆ど痒みを出さない例もあります。
膿皮症だから必ず痒いとも言い切れません。
当院への皮膚科領域転院症例での上位を占めるのがこの病態です。
こういった例においては、既に複数の抗生物質を投与されていたりしますので、安易に抗生物質療法を次々行っても良化しないことが殆どです。
Aが効かないからB、Bが効かないからCのような抗生物質の使用法は正しくありません。
細菌培養・薬剤感受性検査を行ってみると、殆ど全ての抗菌剤に耐性を持ってしまっている患者さんがおられます。
こういった際にはいくつかの除外診断を行った後、別の治療手段を行っていきます。
慢性再発性膿皮症の多くが、上手く対処すれば「抗生物質の無駄飲みの連続」からは解放されます。
慢性再発性膿皮症でお困りの方はご来院の上、ご相談ください。
その際は、今飲んでいる薬(現物持参が望ましいです)、過去の投薬歴(薬剤名)、外用剤、シャンプー、保湿剤、食事内容、サプリメント、ノミダニ予防剤(商品名・薬剤名)、直近の検査結果(血液検査等)、診断のついている基礎疾患名などの情報を持ってきていただけると事がスムーズに進むと思います。
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